第302章 首を長くして待つ

町には石造りアーチ橋があり、その橋を渡ると市場があって、24時間営業のコンビニが数軒まだ開いていた。

お腹が空いた一行は、大量のお菓子を買い込み、町のボス水野楓の先導で、石造りアーチ橋の上に座って冬の冷たい風に当たりながら、勝利後の静けさを楽しんでいた。

水野日幸は辛い菓子の袋を開けて、藤田清明に渡した。

藤田清明は嫌そうな顔で一瞥し、高慢な態度で断った。「食べない」

水野日幸は水野楓を見て、目配せをした。

水野楓はすぐに藤田清明の腕を掴み、背後に捻じ上げた。

水野日幸はこの機会を利用して、辛い菓子を彼の口に押し込み、得意げに笑って言った。「食べたくなくても食べてもらうわ。これは私たちの勝利を祝う戦利品よ」

藤田清明は反射的に吐き出そうとした。

水野日幸は彼を指差して警告した。「吐き出したら川に投げ込んでワニの餌にするわよ!」

藤田清明は彼女を鋭く睨みつけたが、吐き出さなかった。口の中の味を確かめてみると、すでに広がっている食べ物の味は、そこまで耐えがたいものではなく、むしろ美味しかった。一口噛んでみると、目が輝いた。

水野楓は笑いながら尋ねた。「美味しいだろう?俺たちが子供の頃から食べてるもんだ。死ぬことはないさ。もう俺たちの家族なんだから、そんなに気取るなよ」

藤田清明は強情を張って言った。「美味しくない」

水野日幸は辛い菓子を食べながら、少し首を傾げて藤田清明を見て、唐突に感慨深げに言った。「坊ちゃま、あなたは人に毒されちゃったのね」

藤田清明は怒って彼女を睨みつけた。「俺が毒されたとしても、お前が元凶だ」

水野日幸は何とも言えない表情で首を振って笑った。

彼女がそうなのか?

今回、仕返しに行くことを提案したのは、彼女でもなければ水野楓でもなかった。

藤田清明は一袋の辛い菓子を食べた後、もっと食べたくなって、もう一袋取り、結局一袋また一袋と、止まらなくなった。

水野楓は意地悪く笑いながら語尾を引き延ばして言った。「美味しくないねぇ」

水野日幸も頷いて笑った。「全然美味しくないわね」

藤田清明は二人にからかわれて怒り、立ち上がって歩き出した。

水野日幸は急いで追いかけて呼びかけた。「坊ちゃま、どこに行くの?」

水野楓も飛び上がって、残りのお菓子を持って。「お前ら待ってくれよ」