第341章 アイドルのために立ち上がる

「正確には123万枚で、先週までの累計販売数は254万枚、全ネット累計ダウンロード数は5億回を超え、そのうちメインの『告白』は5000万回のダウンロード数を記録しています」と曽我若菜は得意げに言った。

言助兄は国民アイドル歌手で、実力派でもある。言助兄が曲をリリースする前後2ヶ月は、誰も新曲を出す勇気がない。言助兄に完全に圧倒されるのが怖いからだ。

「言助兄は来月新曲をリリースするけど、きっとまた一人勝ちで、前後にリリースする人たちを完全に打ち負かすわ」

「くそ、18日にリリース？うちの有希が数日前に同じ事務所の後輩のビデオを共有したけど、その子も18日にリリースするのよ」

「誰？ベテラン歌手？」

「いいえ、新人よ。名前は何だったか忘れちゃったけど、ビデオでは2フレーズだけ歌って自己紹介して、顔も見せなかった」

「顔を見せないなんて、きっとブサイクで人前に出られないタイプよ。歌手で私たちの言助兄みたいにイケメンで才能もある人なんて、そうそういないわ」

「そうね、なんて大バカなの、新人のくせに言助兄と同じ日にリリースするなんて、完全に死にに行くようなものよ！」

女の子たちは新人歌手が曽我言助と同時にアルバムをリリースすると聞いて、笑い死にそうになった。新人の勇気に感心するけど、若気の至りというか。勇気が大きければ大きいほど、惨めな結果になるだけ。

水野日幸は彼女たちの軽蔑的な会話を聞いて、冷笑を浮かべながら、隣にいるショートヘアの女の子に指で合図を送り、耳元で2、3言囁いた。

その女の子は鈴木蛍といい、石田文乃とも一番仲が良く、水野日幸とも他の女の子たちより親しかった。テーブルを叩いて立ち上がり、隣の曽我若菜たちを指差して：「ねえ、あなたたち、うんこ食べて育ったの？」

田中澪子は表情を変え、箸を投げ捨てた：「鈴木、何のつもり？私たちに何か文句があるの？喧嘩売ってるの？」

鈴木蛍は冷笑して：「本当に私たちに勝てると思ってるの？」

田中澪子は顔を真っ赤にして、向かい側の自分たちより1.5倍も多い人数を見て、勝てないと悟った：「何が言いたいの！」