水野日幸のこの決断は、指導者たちを困惑させただけでなく、番組スタッフも彼女の意図が分からなかった。
特にこちら側のプロデューサー、総監督、チーフライターなど発言権を持ち、内情を知る人々は、お互いに顔を見合わせ、止めるべきかどうか意見を求め合った。
コスモスエンタテインメントが番組に投資したのは事実だが、これはウェブ番組ではなく、テレビ局との共同制作なので、当然テレビ局の意見も考慮しなければならない。
練習生に関して、先方は非常に丁寧で、テレビ局の面子を立て、書面での契約で練習生の昇級や番組側の撮影編集に干渉しないことを保証した。
彼らの会社の練習生も、実力で這い上がらなければならず、一部の人々が密かに推測している後ろ盾や内定といったものは存在しない。
彼らの唯一の要求は、この謎の指導者を入れることと、テレビ局が彼女に最大限の自由を与えることだった。
テレビ局側は当然妥協したくなかったが、あまりにも強硬な態度は取れず、内定枠がないことでコスモスエンタテインメントが譲歩したので、お互いに一歩譲って合意した。
彼らもコスモスエンタテインメントが送り込んだこの謎の指導者は、指導者と番組スタッフを監督するためだと思っていたが、水野日幸がFクラスの担任を直接引き受けたのを見て、他の指導者よりも深く考えざるを得なかった。
番組効果は追求すべきで、一定の範囲内で彼女に自由な発揮を許可するつもりだった。例えば、先ほどの一票否決は番組の見どころを増やしたので、許容できた。
しかし今の状況は違う。視聴者から重要視されているこの謎の指導者が、何も分からない素人のポンコツだった場合、素人が玄人に指導するというのは大きな笑い者になってしまう。
それは彼女自身の面子を失うだけでなく、番組スタッフとテレビ局の面子も失い、視聴者から不専門的だと批判されるのは良いことではない。
利害得失の判断は一瞬のことで、総監督の曽我廣波が直接出向き、丁寧に水野日幸を脇に呼び、遠回しな言い方はせずに直接本題に入った:「出雲先生、Fクラスの担任という重責を、あなたは務まると思いますか?」
この番組は、今年テレビ局が用意した看板バラエティで、新しい道を切り開くべく、大ヒットバラエティとして作り上げられている。