第468章 あまりにも妖怪すぎる

ただ一人だけ例外がいた。伊藤未央だ。

彼女はずっと静かに、真剣に動画を見つめ、先生の一つ一つのダンスの動きに注目し、歌詞の一言一言に耳を傾けていた。最初から最後まで一切の議論に参加せず、目の奥には希望と憧れの光が輝いていた。

しかし、誰も彼女に気付かなかった。全員の注目は今、歌の振り付けに集中しており、議論の声は消えたわけではなく、小さくなっただけだった。

話題は主題歌から彼女たちの指導者である出雲穹へと移り、ほぼ全員が出雲先生は酷すぎると一致して考えていた。彼女たちを放り出して、まるで頭のない蠅のように右往左往させるなんて、あまりにも無責任だと。

F組の練習生たちが主題歌の価値に驚いたように、他のクラスも例外ではなかった。

主題歌は事前に公開されることはなく、主題歌の録音に参加した谷川陽以外は、指導者たちも知らなかった。

D組。

練習生たちは興味津々でMVを見ながら、小声で語り合い、ダンスについて、作詞作曲について、夕子先生について話し合っていた。誰もが信じられない思いでいっぱいだった。

これは夕子先生なのだ。芸能界のあれほど多くの大先輩たちが協力を求めても、結局は門前払いされた夕子先生なのだ!

これまで、夕子先生は城戸修にしか三曲のメインソングを書いていない。その曲は全て大ヒットし、本当の意味での大ヒットで、日本中で話題になった。

しかし今では、その影響力はますます大きくなり、YouTubeでの再生回数は既に1億回を突破し、まさに世界進出の勢いだ。

夕子先生の才能は、日本歌謡界の大先輩たちからも認められ、日本歌謡界復興の希望と称されている。

彼女たちはこれからステージで、夕子先生の歌を歌い、夕子先生の振り付けを踊れることを、この上ない光栄に感じていた。

練習室の後ろには、二人の指導者が並んで立っていた。夏目弥生と谷川陽だ。

夏目弥生は谷川陽を見て笑った。「随分と秘密にしていたのね。あなたの願いが叶ったわけね、夕子先生とコラボできて」

谷川陽は苦笑いを浮かべた。「分かるでしょう、僕が望んでいたコラボレーションは、こういう形じゃなかったんだ」

確かに夕子先生とコラボレーションはしたが、彼が望んでいたのは、新しいアルバムで夕子先生に特別に書いてもらった曲だった。

夏目弥生は理解を示しながら尋ねた。「夕子先生に会ったの?」