第445章 感謝の念

彼は本当に役立たずだ。

こんなに長い間、妹を見つけられないなんて。

こんなに長い間、父の手がかりすら一つもない。

心の病なのか?

水野日幸の言葉が何度も耳の中で響き、彼は眉を少し伏せ、深い自責の念と後悔、悔恨が心を締め付けた。

心の病、あの日彼女が来なければ、あの日彼女が母に会わなければ、母はこんな状態にはならなかったはずだ。

油断してはいけなかった、母に彼女と会わせるべきではなかった。

彼は分かっていた、次男と三男が彼女と連絡を取っていることを知った時から、彼女に会った時から分かっていた、彼女の出現は必ず家族に問題を引き起こすと。

しかし、彼が予想もしなかったのは、彼女によって最初に傷つけられたのが母だったということだ。彼はあれほど慎重に、母が彼女に会わないように気を付けていたのに。

しかし、人の計画は天の采配にかなわず、どんなに避けようとしても、結局二人は顔を合わせてしまった。

水野日幸はリビングに座っていた。帰りたくないわけではない、今すぐにでも帰りたかったが、帰れなかった。鍼治療はさておき、薬を煎じることだけでも非常に複雑で面倒な作業で、彼女以外には誰もできなかった。

彼女が藤田奥様に処方した薬は、他の薬とは違い、煎じる際の火加減と時間は彼女自身が把握しなければならず、一分の狂いもなく正確でなければならない。一秒遅くても早くても、薬は全く効果がなくなり、無駄になってしまう。

一日二回、少なくとも一週間続ける必要があり、考えただけで頭が痛くなったが、やらないわけにはいかなかった。藤田清義は彼女が故意だと思わないだろうか!

しかし、彼がどう思おうと、彼女は一人の優秀な医者として、やるべきことをきちんとやらなければならなかった。

ベッドに横たわる、生気を失ったような女性のことを考えるだけで、心が締め付けられ、呼吸も重くなった。

藤田清輝は最初、彼女に何か質問をしたが、彼女の冷たい様子を見て、返事はするものの「うん」「ああ」といった一言だけの答えで、明らかに話したくない様子だったので、それ以上は話さず、ただ静かに傍らに座っていた。

藤田君秋も話す気分ではなく、藤田母の状態を聞いた後は、藤田清輝に付き添わせて、自分は藤田母を見に行った。