第471章 伝説と儚い人生

廊下の灯りはまだついていて、両側の練習室は既に消灯していた。

静かな廊下では、F組の方から音が聞こえてきた。誰かが踊っているようだ。

水野日幸が近づき、そっとドアを押すと、練習室の中の少女が真剣に、大画面に映る谷川陽のリズムに合わせて、ぎこちなく練習していた。

何回練習したのかわからないが、頬は紅潮し、汗で髪の生え際が濡れ、頬を伝って流れ落ちていた。足元の床にも汗が落ちていた。

水野日幸は目の前の少女を見つめながら、突然、前世で初めてテレビで彼女を見た時のことを思い出した。おとなしくて控えめな少女だった。

彼女はいつもそうだった。優しく、素直で、親切な印象を与えていた。しかしステージに立つと、まるで別人のように変わった。ステージに立てば、彼女は王者となり、まるで彼女の人生すべてがステージでの輝きのためにあるかのようだった。