出雲絹代は何と答えていいのか分からず、断る暇もなかった。
永川沙也加はさらに言った。「じゃあ、そう決まりね。私は主人と一緒に娘を送ってきたの。私たち、近くの初雪ホテルに泊まってるわ。国内最高級のホテルよ。一泊四十万円もするのに、主人ったら、最高のホテルを体験したいって言って聞かないの。あなたはどこに泊まってるの?」
彼女の様子を見ると、一泊六百円のホテルが精一杯だろう。
「私は主人と一緒に子供を送ってきただけで、これから帰るわ」出雲絹代は既に寝具一式を洗濯機に入れていた。
永川沙也加は急いで前に出て、新しく作った洗濯機カードでスキャンした。「私に任せて。このカードには二十万円チャージしてあるから、十分よ」
これから帰るなんて、一泊すら惜しいのね。まあ、そうよね。帝京の物価は高すぎて、彼らには手が出ないもの。