外は、また雪がちらちらと降り始めた。
藤田清義は手を伸ばし、掌に降り積もる雪を見つめ、それが水に変わるのを見た。その深い眼差しの奥には、消えることのない苦い思いが宿っていた。しばらくして、ようやく口を開いた。「玄次、もう家に帰るべきだ」
今は、少しの隙も見せてはいけない。犯人に自分の考えを悟られてはならない。いつも通りに振る舞わなければ。彼がここに来たのは、玄次を連れ戻すためであって、彼女に会うためではないのだから。
「分かりました」藤田清明は素直に答え、抵抗も反論もしなかった。実は心の中では、藤田清義が水野日幸に難しい顔をするのではないかと心配で、そっと彼の表情を窺った。今日の彼は何かがおかしい気がした。
「玄次、もし今、妹に会えたら、何を言うんだ?」藤田清義はため息をつきながら、突然彼に尋ねた。