第679章 水野日幸は背後で仕切っていた

彼女が何か行動を起こす前に、特殊部隊に制圧され、手錠をかけられた。彼女が再び暴れ出すのを防ぐためだ。ただし、彼女が叫んでいた名前、水野日幸とは誰なのか、皆気になっていた。

曽我若菜は今回、完全に静かになった。頭の中の混乱した思考を強制的に空っぽにし、なぜ事態がこうなってしまったのか、なぜすべてが自分の制御を離れてしまったのかを考えていた。

最後に出した結論は、先ほど一瞬よぎった水野日幸と対峙したいという考えと全く同じだった。曽我家が没落し始めたのは、曽我時助のあのギャンブルがきっかけだった。三十億以上の損失を出し、曽我グループの資金繰りに問題が生じ、その後問題は増える一方で、経営状況も悪化の一途を辿った。

すべては、あのギャンブルから始まった。そしてそのギャンブルの首謀者は、インターナショナルクラスの人間だった。彼女を含む曽我家の者たちは皆、あの事件が水野日幸と無関係ではないことを知っていた。しかし、彼女を告発する確かな証拠は何もなかった。