第714章 区役所に婚姻届を出しに行く

長谷川深:あなたの言う通りだ。

水野日幸:方法を思いついたわ、お兄さん、私が会いに行くから待っていて。おやすみ。

長谷川深:どんな方法だ?

水野日幸:明日わかるわ、おやすみ。

長谷川深は頭を抱えた。もう一度メッセージを送ったが、少女はもう返信しなかった。彼女は神秘的に彼の好奇心を掻き立てておいて、黙ってしまった。

翌日。

水野日幸は自然に目が覚めるまで寝ていた。目を開けた時には、太陽はすでに頭上に高く昇っていた。階下に降りると水野春智が残したメモを見つけた。朝食は保温鍋に入っているから、自分で取って食べるように、と書いてあった。

彼女は鍋から水野が買ってきた朝食を取り出した。大きな雑穀のロールパンで、彼女の好きな揚げチキンが入っていた。食べながら、そっとはしごを登り、隣の家を覗き見るために目だけを出した。

庭には誰もいなかった。彼女はほっとして、今度は頭の半分を出して、リビングの方向を見た。書斎を見渡した時、デスクに座っている人影が何かに気づいたかのように、突然振り向いた。

彼女は驚いて頭を引っ込め、バランスを崩して落ちそうになった。しかし、食べ物を喉に詰まらせてしまい、胸を拳で叩いて、やっと飲み込むことができた。

書斎の長谷川深は眉間にしわを寄せ、塀の方向を見ていた。少女は昨日から何か神秘的な様子で、彼に隠していることがあるようだった。こっそり彼を観察するとはどういうことだろう?

水野日幸は、お兄さんは絶対に自分に気づいていないと自分に言い聞かせた。朝食を食べた後、家中を探し回り、何かを大切そうに持って出かけた。

長谷川深は彼女の頭が半分見えて、すぐに消えた時点ですでに外に出ていた。庭で待ちながら、隣の家の物音に耳を傾けていたが、何も聞こえなかった。

しばらくして、ようやく少女が遠くからリビングを通ってこちらに走ってくる足音が聞こえ、そしてはしごの音がした。

水野日幸ははしごに登った後、しゃがんで、懐の中のものを確認した。確認が終わると、そっと頭を半分出して、向かい側の様子を見ようとした。

長谷川深が顔を上げた。

水野日幸は突然目を見開き、彼の深い黒い疑問を帯びた瞳と目が合った。気まずそうに笑いながら、彼に手を振った。「お兄さん、どうしてもっと寝てないの?こんなに早く起きて何してるの?」