第717章 婿入り

出雲絹代は水野春智にまだ何も言っていなかった。

江川歌見と村田思の二人は、すでに左右から水野日幸を取り囲み、彼女の結婚式の計画を立て始めていた。

「師匠、海辺、海辺の結婚式がいいわ。それとも海上結婚式、海の中で、とてもロマンチックよ。すべて私に任せて」村田思は非常に積極的で、自分の結婚よりも興奮していた。

「海辺なんて危険じゃない?もし嵐に遭ったらどうするの?長谷川深は泳げるの?」江川歌見は海辺が好きではなく、反対した後、水野日幸に自分の考えを吹き込んだ。「日幸、師匠が教えてあげるわ。結婚はやっぱりお城でするべきよ。お姫様と王子様、なんてロマンチックでしょう。どのお城に行きたい?私が手配するわ」

「師匠、海辺がいいわ、海辺」村田思は自分の意見を曲げなかった。海辺での結婚式、純白のウェディングドレス、青い海、考えただけで素敵だった。

「お城よ、お城の方がいいに決まってるわ」江川歌見も譲らなかった。お城はとても素敵で、ロマンチックじゃない?ヨーロッパの王室を見てみなさい、みんなお城で結婚式を挙げている。それこそ気品があり、壮大なのよ。

「海辺で結婚したい人は海辺に行けばいいし、お城に行きたい人はお城に行けばいい。早く彼氏を見つけて、どこでも好きなところに行けばいいわ」水野日幸はこめかみをさすりながら、騒がしさに頭が痛くなっていた。

「師匠、私はまだ若いもの」村田思の年齢は実際には水野日幸より1歳年上だったが、さらに年上の人がいた。彼女は江川歌見を見て言った。「師祖、どうして結婚しないの?」

江川歌見は指で彼女の頭を軽く叩いた。「最近、あなたは調子に乗ってるわね。私のことまで口出しするつもり?」

村田思は赤くなった額をさすりながら、水野日幸の腕にしがみついて後ろに隠れたが、まだ口答えした。「師匠、あなたの師匠を何とかしてよ。ほら、もうかなりの年齢なのに、結婚相手も見つけないで、将来...将来...将来は私が面倒を見るわ」

最後の方で、彼女は江川歌見の威嚇するような視線に気づき、急いで言葉を変えた。まあいい、結婚しなくても、彼女と師匠が面倒を見て、養ってあげればいい。

江川歌見はようやく満足した。この期間、彼女を教え、可愛がったのは無駄ではなかった。

水野日幸は二人に取り囲まれていた。

長谷川深は水野春智と出雲絹代と話をしていた。