第187章 最も美しい手話の告白(9)

鈴木和香が個室に戻ると、次のゲームが鈴木夏美の発案だと聞いて、すぐに逃げ出したい衝動に駆られた。

幼い頃から、夏美は人が多く集まる度に、いつも同じゲームをやりたがった。それは、じゃんけんだった。

みんな順番にじゃんけんをして、勝った人は安全、負けた人は次の人とじゃんけんをする。そうやって最後に負けた人が罰ゲームを受けることになる。

罰ゲームも陳腐で馬鹿げていて、真実を話すか、罰ゲームを選ぶかのどちらかだった。

和香が無意識に逃げ出したくなるのは、長年このゲームをやるたびに、いつも一番惨めな負け方をして、真実を話すか、罰ゲームを選んで散々な目に遭わされてきたからだった。

夏美はトイレに行っていたが、ゲームはすでに始まっていて、三回戦二勝制で、みんな楽しそうにじゃんけんをしていた。