第233章 彼女だけは触れてはいけない!(3)

来栖季雄は険しい表情を浮かべたまま、エレベーターの前に直行し、開くボタンを押した。

-

鈴木夏美が乗ったタクシーも、すぐ後に続いてホテルの前に停車した。夏美は車が完全に止まるのも待たずにドアを開け、ホテルの中へと駆け込んでいった。

夏美がホテルに入った時、来栖季雄はちょうどエレベーターに乗り込もうとしていた。彼女は急いで前に進み、季雄が向かう階を確認すると、別のエレベーターの前で必死にボタンを何度も押した。

エレベーターが一階に到着し、ドアが開くと、来栖季雄のアシスタントもちょうど走ってきた。二人は急いでエレベーターに乗り込み、季雄が向かった階のボタンを押した。

夏美はエレベーターから飛び出すと、廊下に立って左右を見渡した。左端の一番奥のドアの前に立って、ノックをしている季雄の姿が見えた。