続いて司会者と監督の対談があり、『傾城の恋』についての質問が投げかけられました。このような発表会に慣れている監督は、巧みに作品の見どころを紹介しながら、観客の興味を引くような謎も残していました。
その後、司会者と出演者との対談では、『傾城の恋』に関する質問が続きました。例えば、どのような役を演じているのか、その役柄の性格はどうか、誰と共演するのか、その役から得た感想などについてでした。
今日出席した俳優たちの中で、鈴木和香以外は皆、多くの作品に出演経験があり、質問に対して友人と話すかのように自然に答えていました。
鈴木和香は少し緊張気味でしたが、発表会の前に回答のコツを教えてもらっていたので、特に失態はありませんでした。
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発表会は午後6時頃に予定通り終了し、俳優たちが『傾城の恋』の大きなポスターにサインをしてメディアの撮影に応じた後、ドラマの主要カップルである松本雫と田中大翔、来栖季雄と鈴木和香は、それぞれ別々の部屋で個別インタビューを受けることになりました。他の出演者と監督は、発表会場に残って個別インタビューの枠を得られなかったメディアからの質問に答えることになりました。
鈴木和香と来栖季雄は帝国グランドホテルの最上階のスイートルームに案内されました。二人が到着した時、インタビューを担当する記者はまだ来ていませんでした。
部屋は特別に装飾されており、ヨーロピアンスタイルのソファが3つ、ガラスの円卓を囲むように配置されていました。壁には『傾城の恋』のスチール写真が飾られており、それは来栖季雄と鈴木和香の2ショット写真でした。テーブルの上には果物や赤ワイン1本、ミネラルウォーター3本が置かれていました。
来栖季雄と鈴木和香を案内したスタッフは、3つのワイングラスにそれぞれ赤ワインを注いだ後、スイートルームを出て行きました。
スイートルームには鈴木和香と来栖季雄の二人だけが残されました。品位を保つために長時間緊張していた鈴木和香は、完全にリラックスして、まるで骨が溶けたかのようにソファにだらりと座り、頭を無造作に傾けると、視線は偶然にも来栖季雄の胸元につけている、彼女がプレゼントしたネクタイピンに落ちました。