鈴木和香はその場に暫く立ち止まってから、後を追った。
二人は前後に歩き、遠すぎず近すぎない距離を保っていた。
道中、二人とも黙ったままで、誰も進んで話しかけることはなかった。
コンビニの入り口に着くと、来栖季雄は足を止めた。中には入らず、ガラス窓越しに、鈴木和香が日用品コーナーで生理用品を数パック手に取るのを見ていた。
なるほど、生理が来たのか。だから急いでいたんだ……
来栖季雄は鈴木和香がレジに向かうのを待ってから、店内に入り、財布を取り出して、レジ係が商品をスキャンし終わるのを待ち、百円札を一枚差し出した。
「私、小銭持ってますから……」鈴木和香は財布から十円札を数枚取り出し、レジ係に渡そうとしたが、来栖季雄はすでにお釣りを受け取り、生理用品の入った買い物袋を持ってコンビニを出ていた。
来た時と同じように、鈴木和香は来栖季雄の後ろを歩いていた。顔を上げると、彼の孤独そうな背中が目に入り、思わずしばらく見つめてしまい、それからすぐに視線を逸らした。
夜は静かで、清らかな月の光と黄色い街灯が混ざり合って、地面一面を明るく照らし、二人の影を長く伸ばしていた。
椎名佳樹の邸宅の門前で、来栖季雄は先に立ち止まり、鈴木和香が近づくのを待って、買い物袋を渡した。
鈴木和香は袋を受け取り、「ありがとうございます」と一言言った。
来栖季雄は何も言わず、二人は向かい合って立っていた。
来栖季雄は、次は鈴木和香に早く休むように言うべきだと分かっていたが、言葉が口の中で何度も巡り、どうしても出てこなかった。このままでいれば、彼女ともう少し一緒にいられるような気がした。
沈黙が気まずい雰囲気を作り出し、鈴木和香は来栖季雄が話す様子がないのを見て、顔を上げ、「先に入ります」と言った。
来栖季雄は目を伏せ、しばらくしてからようやく頷き、まぶたを上げて淡々とした声で「うん、ゆっくり休んで」と言った。
「はい」鈴木和香は軽く返事をし、買い物袋をきつく握りしめ、来栖季雄の傍らを通り過ぎて邸宅の中に入った。
来栖季雄は門前に立ち、鈴木和香が家の中に入るまで見送ってから、やっと視線を戻した。頭を上げて空の月を見つめ、自分の邸宅に向かって歩き出した。数歩進んだところで、何か思い出したように突然振り返り、コンビニに引き返した。