鈴木和香は少し躊躇してから、電話に出た。
来栖季雄の声は相変わらず感情の起伏が少なかったが、いつもの冷淡な調子ではなかった。「目が覚めた?」
鈴木和香は口の中のお粥を飲み込んで、「うん」と返事をしてから、「どうしたの?」と尋ねた。
「別に、起きたかどうか確認したかっただけ」来栖季雄は一瞬間を置いて、続けて言った。「これから西部郊外のゴルフ場に行く。周藤社長と馬場社長との約束がある」
これは彼の仕事のスケジュールなのに、なぜ彼女に話すのだろう?
鈴木和香は心の中で文句を言いながらも、食堂の窗から外の眩しい太陽を見上げて、「こんなに日差しが強いのに、暑くないの?」と言った。
「室内のゴルフ場だよ」
「あぁ」鈴木和香は返事をして、肉まんを一口かじった。電話の向こうでノックの音が聞こえ、すぐに来栖季雄の「どうぞ」という声が聞こえた。その後、彼は彼女に「仕事に戻るよ」と言った。