第585章 知られざる事(15)

場所が遠かったため、通報してから約1時間後に警察が到着した。

侵入強盗は既に目を覚ましており、警察が彼を連行する際、犯人を気絶させた木の棒も証拠品として持ち去った。もちろん、鈴木和香も事情聴取のため同行し、田中大翔と馬場萌子も一緒に付き添った。

皆の予想通り、その男は近くの村の住人で、ギャンブルで多額の借金を抱え、年末が近づくにつれて債権者に追われ、家にも帰れず、このリゾート地をうろついていた。偶然、撮影隊がいるのを見かけ、窃盗の邪念を抱いたのだった。

この泥棒を誰が気絶させたのかについて、鈴木和香にも分からず、自分が目撃した状況をありのまま説明することしかできなかった。

誰が犯人を殴ったのかは分からないものの、殴られた方に非があったため、法的にも正当防衛であり、さらにその人物が突然現れなければ、人命が失われていたかもしれない。そのため、事情聴取後、警察は彼らを撮影現場に送り届け、ついでに鈴木和香の言う正体不明のヒーローを探して撮影現場周辺を捜索した。