第692章 携帯の中のメッセージ（42）

前回の誕生日、椎名佳樹は鈴木和香が彼女によって階段から突き落とされた件で長い間怒っていて、春節でさえ椎名家に足を踏み入れなかった。最後は彼女が絶食して入院するまで追い込まれ、ようやく彼は戻ってきた。執事が彼女の代わりに罪を被り、すべて自分の考えだと言って、椎名佳樹はようやく和らいだのだが、それからそう経たないうちに...このような事態が起きてしまった...しかも前回よりもずっと深刻な事態だった...

赤嶺絹代は心の底から動揺していた。今回椎名佳樹が去ってしまったら、どうやって彼を呼び戻せばいいのか分からなかった...

赤嶺絹代はそう考えながら、急いで車から降り、椎名佳樹を追いかけ、彼の腕をしっかりと掴んだ。「佳樹、またママに怒ってるの？ママに怒らないで、ね？」

「ママの言うことを聞いて。あの子はあなたの子じゃないの。あなたはその時昏睡状態だったわ。あれは来栖季雄のあの下種の子よ。ママはそれを残しておくわけにはいかなかったの...ママはあなたに他人の子供を育てさせるわけにはいかなかったの...ママはあなたのためを思って...ママを信じて...」

「季雄さんが他人？彼は僕の兄だよ！椎名家の子供だ。彼の子供は僕の子供でもある。どうして残せないんだ！」椎名佳樹は怒りなのか、痛みなのか、それとも動揺なのか、声が震えていた。「ママ、あれは一つの命だよ。和香と兄さんの子供だ。生きている命を、どうしてそんなことができたんだ！」

「あの雑種はあなたの兄じゃない！あなたの会社まで奪ったのよ！」赤嶺絹代は鋭い声で叫んだ。

「なぜ会社を奪ったと思う？それもママが彼の子供を殺したからじゃないか！それに、あの会社は元々半分は彼のものだ。全部僕のものじゃない！」椎名佳樹は言いながら、激しく赤嶺絹代の腕を振り払った。赤嶺絹代はよろめいたが、すぐに椎名佳樹の腕を掴み直した。「ママが悪かったわ。約束するわ、もう二度とこんなことはしないから、ね？」

椎名佳樹はこの真実に本当に崩壊しそうだった。母親が来栖季雄を好まないことはずっと知っていたし、その気持ちも理解できた。でも、まさか彼女がこんなにひどいことをしていたなんて！