第738章 選択(月票加更22)

記者たちがドアを塞いでいたのか……

鈴木和香は上げかけた手をすぐに引っ込めた。

桜花苑の家には彼女一人しか住んでおらず、もしドアを開けたら、残忍さで知られるこの種の記者たちに囲まれて袋叩きにされるに違いない!

ドアベルが鳴り続け、一部の記者はすでに庭の鉄門を揺さぶり始めていた。ガランガランという音が監視カメラを通して和香の耳に届き、彼女は恐怖を感じて思わず一歩後ずさりし、その後階段を駆け上がった。

書斎のドアを開けると、和香は自分の携帯電話が鳴っているのを聞いた。着信音で、それが来栖季雄からの電話だとわかった。

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来栖季雄が今日約束していたのは上野社長だった。上野グループは主に宝石や装飾品を扱っている。季雄と上野社長は食事会で一度だけ顔を合わせたことがあり、それは約20日前のことだった。当時、環映メディアは新しいテレビドラマの制作を計画しており、その中に宝石関連の要素が含まれていたため、上野社長は彼に名刺を渡し、深い協力関係を望むと言った。