上野社長は黙ったまま、来栖季雄の続きの言葉を静かに待っていた。
「私が求める見返りは、ある物です。上野様が絶対に持っているものです。」
上野社長はここまで聞いて、何かを思い出したようだった。「来栖社長、あなたが欲しいのは……」
来栖季雄は上野社長が次の言葉を言い終わる前に、頷いた。「そうです、私は永遠の心が欲しいのです。」
「永遠の心」は世界十大ダイヤモンドの一つで、三十年前に上野社長の祖父がイギリスで一億人民元の価格で落札し、それ以来上野グループの看板宝石として保管され、決して売りに出されることはなかった。
この数年間、上野社長に「永遠の心」を買いたいと申し出る人はいたが、来栖季雄のように最初から法外な価格を提示する人は誰もいなかった。
上野社長はそこまで考えて、笑った。「来栖社長は、この永遠の心を、どうしても手に入れたいようですね?」