第787章 私は妊娠しました(7)

「鬼太鼓座を踊るんじゃなかったの?どうして衣装を着ていないの?メイクもしていない?このままで踊るつもり?」

来栖季雄は眉間にしわを寄せた。そして司会者が尋ねるのが聞こえた。「鈴木和香さん、前回までの二回のパフォーマンスはとても素晴らしかったですね。今回は皆さんにどんな演目を披露してくれますか?」

「実は本当はとても素晴らしい演目を皆さんのために用意していたのですが、ある理由で、さっき急遽変更しました」ステージ上の鈴木和香は、凛として美しく立っていた。

急遽変更した?林夏音のせいなのか?来栖季雄の目がふと冷たくなった。

司会者が尋ねた。「では鈴木和香さんが急遽変更した演目は何ですか?」

鈴木和香はカメラに向かって言った。「一つの物語です」

「一つの物語?」司会者は非常に興味を持ったような表情を作った。「では舞台を鈴木和香さんにお任せしましょう。彼女の『一つの物語』を皆さん、楽しみにしていてください」