第821章 家族に会う(1)

鈴木和香は思わず来栖季雄の胸に顔を埋めた。しばらくして、声を出して言った。「来栖季雄、この世で一番美しい二文字が何か知ってる?」

来栖季雄は鈴木和香の長い髪をなでながら尋ねた。「何?」

鈴木和香は少し顔を上げ、来栖季雄の耳元に近づいて、小声で言った。「旦那様」

来栖季雄の体は明らかに一瞬硬直し、約1分間そのまま固まっていた。そして突然、鈴木和香をベッドに押し倒し、深く口づけた。

できることなら、来栖季雄は本当にこのまま彼女を思う存分愛したかった。

残念ながら...それは考えるだけにとどめるしかなかった。

来栖季雄は何度も何度も鈴木和香にキスをし、最後には息を切らして彼女から離れ、抑えた声で言った。「和香、君はこの世で一番美しい二文字が何か知ってる?」

来栖季雄は彼女の耳元に近づき、囁いた。「奥さん」

彼女の真似をして...鈴木和香は頬を赤らめて笑った。

笑った後、鈴木和香はまた来栖季雄の耳元に近づいて言った。「来栖季雄、一つ言ってなかったことがあるの」

「ん?」

「実は、私、あなたに一目惚れしたの...うん...」鈴木和香は少し間を置いて、続けた。「雨宿りした日に、もうあなたが好きになってた。丸13年間ずっと好きだった」

彼がラブレターを見たとき、彼女が5年間彼を好きだったと思っていた。ほら学校に行って初めて、彼女が彼のために1組に入ったことを知った。そして彼は彼女が高校1年生から彼を好きになったと思っていた。でも今、彼女は彼に告げた。彼女は彼に一目惚れし、13年間ずっと好きだったと。

来栖季雄はこの瞬間、自分の血液が逆流する音を聞いた。彼は彼女をじっと見つめ、長い時間が経ってから、ようやく声を出した。「なんて偶然だ、僕も君を13年間好きだった」

-

平日は鈴木旦那と鈴木夫人が仕事があるため、鈴木和香が電話で事前に相談した結果、挨拶に訪れる時間は週末に決まった。

その日の早朝、来栖季雄と鈴木和香は起床し、二人で身支度を整えると、まず車で墓園へ向かった。

鈴木和香の両親の墓と来栖季雄の母親の墓は同じ墓園にはなく、距離もかなりあった。お参りを終えて町に戻ったときには、すでに午前11時になっていた。車で鈴木家の玄関に着いたときには、かろうじて最初に約束した訪問時間に間に合った。