第824章 家族に会う（4）

「夏美！」鈴木夫人は鈴木夏美のこの行動に驚いて、思わず彼女の名前を呼んだ。

鈴木夏美は聞こえないふりをして、立ち上がり、冷たい声で「お腹いっぱい」と一言だけ言って、テーブルの他の人が反応する前に、そのまま振り返って立ち去った。

鈴木和香と来栖季雄が訪ねてきてから今まで、鈴木夏美はこれが何度目かわからないほど雰囲気をこんなに気まずくしていた。いつも彼女を甘やかしていた鈴木旦那でさえ、怒りを抑えられなかった。「鈴木夏美、戻ってきなさい！」

鈴木夏美は足を止めることなく、そのままダイニングルームのドアを開けて出て行き、ついでにドアを大きな音を立てて閉めた。

鈴木旦那は怒りで胸が上下に波打った。「まったく話にならない。礼儀というものがあるだろう！」

やはり実の母親だけあって、娘が人に笑われるのを見るに忍びなく、鈴木夫人は思わず娘をかばって説明した。「夏美はここ数日ずっと機嫌が悪いのよ。田中大翔もしばらく彼女に会いに来ていないし、忙しいのか二人で何かあったのか、さっき私が田中大翔の話をしたら、彼女は怒り出したの」

鈴木旦那はこの言葉を聞いて、怒りが少し収まった。

鈴木夫人は急いで鈴木旦那におかずを取り分け、ついでに来栖季雄と鈴木和香にも声をかけた。「さあ、食事を続けましょう。夏美のことは気にしないで、彼女は小さい頃からあんな気性なの」

鈴木旦那は心の中ではまだ不快感があったが、来栖季雄がいることもあり、怒りを抑えて笑顔に切り替え、来栖季雄と結婚の詳細について話し合い続けた。「結婚式のホテルやウェディングドレスの撮影は、もう選んだのかい？」

「これから選ぶ予定です」来栖季雄は礼儀正しく答え、その口調は鈴木夏美が先ほど起こした出来事がまるで存在しなかったかのように平静だった。

鈴木旦那は言った。「和香は身ごもっているから、そんなに精力的にはなれないだろう。何か必要なことがあれば、遠慮なくおばさんに頼むといい。彼女は何年も前から毎日夏美と和香の結婚式の準備をしたいと言っていたんだ」

鈴木夫人は本当に嬉しそうで、笑顔がこぼれていた。「場所だけ選んでくれれば、他の細かいことは私が見ておくわ」