第851章 エピローグ（11）

「鈴木和香様、あなたは来栖季雄様を夫として迎え、彼を深く愛し、彼に寄り添い、彼に忠実であり、生老病死にかかわらず、決して見捨てないことを誓いますか？」

和香は季雄の視線を見返し、唇の端を少し上げ、目には笑みが満ちていた。まるで幸せが溢れ出しそうな様子で：「はい、誓います」

会場には再び雷鳴のような拍手が沸き起こり、その拍手の中、アシスタントが二人に指輪の交換を促した。

傍らに立っていた椎名佳樹が急いで指輪を差し出し、季雄は女性用の指輪を取って和香の指にはめ、和香は男性用の指輪を取って季雄の指にはめた。

また大きな拍手が沸き起こった。

拍手の中、アシスタントが新郎新婦にキスをするよう促すと、季雄は和香から目を離さず、ちょうど頭を下げてキスしようとした瞬間、アシスタントが突然声を上げた：「すみません、少し中断させてください。私たちは皆、新郎が新婦に長年片思いしていたこと、そして新婦も随分前から新郎を好きだったことを知っています。しかし、二人とも口を開かなかった。皆さんに代わって聞きたいのですが、誰が最初に切り出したのでしょうか？つまり、誰が誰に最初に告白したのですか？」

誰が誰に最初に告白した？

この質問に、和香は少し戸惑った……彼女は誤って陶器人形を壊し、中の紙切れを見て初めて季雄が彼女を好きだと知り、それでアメリカまで追いかけて、しつこく迫ったのだった……これはどう考えればいいのだろう？

和香が必死に答えを考えている時、季雄が突然ゆっくりと口を開いた：「彼女が先に私に告白しました」

会場は信じられないという驚きの声で沸き立った。

和香は皆のからかいの声に顔を赤らめ、横を向いて少し不満げに季雄を見つめ、小声でつぶやいた：「でも、誰かさんが私の陶器人形の中にラブレターを隠したんでしょう」

和香のウェディングドレスにはマイクが付けられており、彼女の声は小さかったが、確実に会場の全員の耳に届き、雰囲気は再び盛り上がった。

季雄は和香の口調を真似て、落ち着いた様子で言った：「誰かさんが私をアメリカまで追いかけてきて、空港で私を抱きしめ、泣いたり駄々をこねたりしながら好きだと言ったんでしょう」

和香は季雄の言葉に一瞬言葉を失い、口をパクパクさせながら、会場からの笑い声を聞いて顔をさらに赤くし、頬を膨らませて心の中で「もう！」と文句を言った。