鈴木山の外交関係を通じて、商業管理機構が北洋国へ視察に行くことが決まった。
もともと第二部門の活動だったが、第一部門と第三部門も参加することになった。理由はもちろん、現地で研究学習をするためだった。
日程は来週の月曜日に決まり、あと二日だった。
今日はちょうど土曜日で、鈴木知得留は自然に目が覚めるまで眠った。先週の緊張した仕事で心身ともに疲れていた。
彼女は伸びをしながらベッドから起き上がった。
リビングでは父親がソファに座って新聞を読んでおり、根岸史子が傍らで世話を焼いていた。
根岸佐伯の一件以来、根岸史子はかなり大人しくなっていた。田村厚が商業管理機構で大きな動きを見せようとしているにもかかわらず、根岸史子の方は一見おとなしくしているように見えた。彼女のことを恐れているのか、何事も以前より慎重になっているようだった。