広々とした会議室。
青木太一が出て行くと、雰囲気が少し和らいだ。
高橋透は議長席に座り、鈴木知得留を惜しみなく褒め、「先ほど青木さんが明確におっしゃったように、経済区の開発は海上レジャー施設を中心に計画・実施し、企業にも参加してもらいます」と述べた。
「はい」と三人の企画部門マネージャーが頷いた。
「今、ふと思いついたのですが、以前は新入社員を評価するための別の課題を出そうと考えていましたが、今はその必要がないと思います。経済区の開発計画は新入社員からのアイデアですから、この開発案を10人の新入社員に任せ、最終的な個人成績で採点します。同時に、10人の新入社員の各部門での平均点が、各部門の年末評価に直接影響します。当然、部門も関与する必要があります。はっきり言えば、部門の他のスタッフは10人の新入社員のために働くことになります」
この発言に、会議室はどよめいた。
これまでにない出来事で、新入社員がこれほどの権限を持つのは初めてだった。
「青木さんの言う通り、何事も革新が必要です。新入社員がどれだけの潜在能力を発揮できるか、私も見てみたいと思います。期間は1ヶ月です。満足のいく結果を期待しています。散会」と高橋透は退室した。
他のメンバーも次々と会議室を後にした。
鈴木知得留は会議で目立ちすぎたため、多くの人から妬まれることになった。
当然、敵も作ることになった。
彼女は自分の席に戻り、静かに考えを巡らせた。
まず楠木観月の反感を買った。直接悪口は言わなかったものの、彼女の全ての注目を奪ってしまい、楠木観月のような人物には最も耐えられないことだった。
次に田村厚。順調に褒められていたのに、一瞬で粉砕されてしまい、当然不満を抱いているはずだ。
そして田中雷。会議で彼の仕事の不備を暗に指摘したため、必ず恨みを抱くだろう。
最後に、黒幕の敵意も買った。
彼女は今、至る所で田村厚に対抗し、田村厚の発展を抑制している。田村厚は黒幕が引き立てている人物であり、彼女の存在が脅威となっているため、後顧の憂いを断つために彼女を排除しようとするに違いない!
明らかに、彼女は四面楚歌の状態だった!