次の日。
斎藤咲子は目を開けた。
彼女のベッドの横に立っていたのは根岸峰尾だった。
当然、慣れない状況だった。
斎藤咲子は思わず布団を引き寄せた。
根岸峰尾は彼女を見つめていた。
斎藤咲子は「起きてからずっとですか?」と尋ねた。
「少しだけ」
「ちょっと待っていてください。起きたら朝食を食べに連れて行きますから」
「はい」根岸峰尾は頷いた。
「少し席を外してもらえますか」斎藤咲子は促した。
根岸峰尾は一瞬固まった。
すぐに顔を赤らめ、斎藤咲子に背を向けた。
斎藤咲子は根岸峰尾の背中を見つめ、小さくため息をついた。
やはり慣れない状況だった。
彼女が極めて控えめな服装をしていても。
彼女は起き上がって身支度を整え、外出着に着替えて根岸峰尾と共に外出した。
ロビーでは、渡辺菖蒲と村上紀文、そして加賀千明が朝食を取っていた。