第150章 無事帰国、根岸史子を怒らせる!(3更)

北洋国から日本国までは一日一夜かかる。

軍艦で一晩休んで、翌日の午後に日本国の領域に到着した。

その後、日本国の艦船が彼らを東京港まで送り届けた。

港では、鈴木山が直々に鈴木知得留を出迎えた。

鈴木山の傍らには根岸史子がいた。

鈴木知得留は根岸史子を一瞥した。

根岸史子も同じように鈴木知得留を一瞥した。

鈴木知得留は、根岸史子がどうやって笑顔を作れるのか不思議に思った。

今頃は私を引き裂きたいはずなのに。

あれだけの労力を費やしたのに、私を殺せなかったことで、心の中は狂いそうなはずだ。

彼女は視線を移し、鈴木山に向かって「お父さん」と呼びかけた。

「本当に心配で心配で死にそうだったよ。無事に帰ってきてくれて良かった」鈴木山は鈴木知得留の手を取り、目を赤くしながら娘を上から下まで確認した。

「うん」鈴木知得留は軽く微笑んで、「お父さん、もう心配しないで。大難を逃れた者には必ず福があるって言うでしょう。これからもっと活躍して、誰かさんを悔しがらせてやるわ」

鈴木知得留は根岸史子に聞こえるように意図的に言った。

根岸史子の表情が一瞬変わったが、それでも笑顔を保っていた。

たとえその時の笑顔が、どれほど無理のあるものだったとしても。

なぜここまで来ているのに、鈴木知得留を殺せなかったのか!

もう後がないと覚悟を決めて、こんな大事になるとは思わなかったし、これほど多くの人を巻き込むことになるとも。目的は鈴木知得留を国に帰さないことだったのに、まさか、まさか鈴木知得留が運良く帰ってくるなんて。

そのニュースを聞いた時、彼女は血を吐きそうになった。

鈴木知得留は猫なのか?九つの命でもあるのか。

彼女は我慢を重ね、必死に耐えた。

鈴木山は鈴木知得留の言葉に少し驚いて、「何を言ってるの?」

「なんでもないわ。帰りましょう」

鈴木山は頷き、ずっと娘の手を握ったまま、この時上野和明と冬木空たちの姿も目に入った。

彼は上野和明に「和明、ありがとう」と言った。

「おじさん、そんな気を遣わないでください。知得留を守るのは私の責任です。以前は部隊の仕事で帰って来られなかったのは私の不徳の致すところです。おばさんが亡くなった時、私は彼女を大切にすると誓ったのに、守れなかったのは私の責任です」