北洋国から日本国までは一日一夜かかる。
軍艦で一晩休んで、翌日の午後に日本国の領域に到着した。
その後、日本国の艦船が彼らを東京港まで送り届けた。
港では、鈴木山が直々に鈴木知得留を出迎えた。
鈴木山の傍らには根岸史子がいた。
鈴木知得留は根岸史子を一瞥した。
根岸史子も同じように鈴木知得留を一瞥した。
鈴木知得留は、根岸史子がどうやって笑顔を作れるのか不思議に思った。
今頃は私を引き裂きたいはずなのに。
あれだけの労力を費やしたのに、私を殺せなかったことで、心の中は狂いそうなはずだ。
彼女は視線を移し、鈴木山に向かって「お父さん」と呼びかけた。
「本当に心配で心配で死にそうだったよ。無事に帰ってきてくれて良かった」鈴木山は鈴木知得留の手を取り、目を赤くしながら娘を上から下まで確認した。