第415章 広橋香織、私が折れてもダメ?!(2番目)

北村雅は北村忠を連れて北村邸に戻った。

北村雅は直接北村忠を連れて二階の書斎へ向かった。

リビングでは広橋香織と道明寺華が、父子の厳かな様子を見つめていた。

書斎にて。

北村忠は北村雅の向かいに座り、姿勢を正した。

今から重要なことが始まるような気がした。

しばらくの間、そのまま沈黙が続いた。

ドアがノックされた。

北村雅の弁護士が書斎に現れた。

弁護士は慎重な様子で、既に用意した株式譲渡契約書を北村雅と北村忠にそれぞれ手渡した。

「問題がなければ、署名をお願いします。署名と同時に効力が発生し、北村雅様の北村系の株式は全て北村忠様に移譲され、つまり、これからは北村系の筆頭株主は北村忠様となります。」

北村雅は軽く頷いた。

彼は脇に置いてある金のペンを取り、颯爽と署名し、捺印した。

北村忠は父の様子を呆然と見つめ、「父さん、後悔しないでよ!」

「後悔させたくなければ、成果を見せてみろ!」北村雅は厳しく言った。

「でも……」

「何だ?自信がないのか?」北村雅は冷ややかに言った。

「親父、そんな軽蔑した目で見ないでくれよ!」北村忠は不満げだった。

今は能力が足りないかもしれないが、せめて励ましの言葉があってもいいはずだ。

北村雅は北村忠を無視し、冷たく命じた、「署名しろ!」

「本当に署名していいの?」北村忠はペンを持ったまま躊躇していた。

「早くしろ!時間を無駄にするな!」

北村忠はペンを持ち、ゆっくりと署名し、捺印した。

弁護士は丁重に、「譲渡契約が成立しました。北村雅様と北村忠様にそれぞれ一部ずつ、私の方で二部保管させていただきます。」

「ありがとうございます。」北村雅は弁護士と握手し、感謝の意を示した。

「当然のことです。他に用件がなければ、これで失礼いたします。」

「お疲れ様でした。」

弁護士が去った。

弁護士が去ると、北村忠は父をじっと見つめ、まばたきもせずに見続けた。

北村雅は眉をひそめ、「お前、馬鹿になったのか?」

「それは僕も聞きたいよ。」

北村雅の表情が曇った。

「父さん、頭がおかしくなったの?そうじゃなきゃ、どうして株式を全部僕にくれるなんて考えつくの?!」