第477章 私は結婚しないことを選ぶ(2番目の更新)

「食事の用意ができました」

部屋の中から、冬木空の低くて磁性のある声が聞こえてきた。

「ちょっと顔を洗ってきます」北村忠はトイレに向かった。

鈴木知得留と冬木空は食卓に座っていた。

冬木空は鈴木知得留のために卵の殻をむいていた。

北村忠は顔を洗い終わり、遠くから二人を眺めていた。

彼は考えていた。夫婦仲が良いと、お互いに卵の殻をむいてあげるものなのかと。

父親もそうだったし、今の冬木空もそうだ。

彼は二人の前に座り込んだ。

二人は彼の存在に気づいていないようだった。

鈴木知得留は「卵は食べなくてもいい?本当に好きじゃないの」と言った。

「だめだ。卵は栄養価が高いから、毎日一個は必ず摂取しないと。これ以上減らすのは許さない」

「黄身は食べなくていい?」

「黄身にはレシチンが含まれていて、脳に良いんだ」