第537章 逆転完勝、北村忠の激怒(2番目)

カウントダウン10秒。

ゲーム画面に入ると、会場は静まり返った。選手のプレイに影響を与えないようにしているかのようだった。

道明寺華は豹に変身できるヒーローを選んだ。

豹のスキンは虎に少し似ていて、その瞬間、道明寺華はジャングルで突然立ち止まった。

突然動かなくなった。

頭の中で冬木心が先ほど言った言葉が響いていた。

彼女は唇を噛んだ。

集中できない。

確かに数秒間の気の緩みがあった。

ゲーム一試合は早ければ10分程度で、一つの団体戦は数秒で決まることもある。

道明寺華の突然の硬直に、他のメンバー全員が驚き、動揺し始めた。

「華」とイヤホン越しに元が呼びかけた。

道明寺華は我に返った。

ジャングラーとして経済は重要だ。相手は既に最後の中立モンスターを倒してレベル4になっているのに、道明寺華はまだ最初のエリアで2体目のモンスターを倒している段階だった。

道明寺華は歯を食いしばった。

会場全体が落ち着かない様子だった。

先ほどの道明寺華の行動が全く理解できなかった!

配信プラットフォームでも次々とコメントが流れた。「道明寺華は何をしているんだ?」

「彼女は正気を失ったのか?動かないなんて?」

「相手のジャングラーの経済が彼女より遥かに上だぞ、何を考えているんだ?」

「マジかよ、Joeチームの神話はここで終わりか!」

「もう見てられない。結果発表を待つだけだな!」

全国のゲームファンたちは自暴自棄になりかけていた。

北村忠もその時死ぬほど緊張していた。

道明寺華のバカは何をしているんだ?こんな時に放心状態になるなんて?

全世界の人々に非難されたいのか?

北村忠は自分の手のひらに汗をかいているのを感じた。本当に道明寺華のために冷や汗をかいた。

冬木心はむしろ笑みを浮かべた。

おそらく全世界で道明寺華と彼女以外、誰も道明寺華が何故調子を崩しているのか分からないだろう。

彼女は冷ややかに笑った。

今日以降、道明寺華は全国民の敵となり、袋叩きにされるだろう!

彼女はそう冷たく見つめていた。

配信カメラが全て道明寺華の顔に向けられているのを見ながら。

道明寺華の表情は淡々としており、この状況下では何の感情も読み取れないようだった。

彼女はジャングル攻略とレベル上げを続けた。