番外002 華、もう一度私と結婚してください（2更）

Joeのチームはついにeスポーツの世界チャンピオンを獲得した。

全国が歓喜に沸いた。

チームが海外から帰国すると、空港はファンや記者で溢れかえり、彼らは出口で身動きが取れないほど囲まれていた。

「Joe、約10年かけてついに世界大会の優勝メダルを手に入れましたが、その感想を聞かせていただけますか？」

「Joe、今回の大会で道明寺華は驚異的な実力を見せ、eスポーツ界の神話と呼ばれていますが、彼女を一般人からプロゲーマーに育て上げた秘訣を教えていただけますか？」

「Joe、道明寺華の姿が見当たりませんが、まだ帰国していないのでしょうか？」

「Joe、世界大会での求婚が失敗に終わりましたが、この件について悲しい思いを...」

Joeのチームは記者たちに囲まれていた。

道明寺華はキャップと黒いマスクを着用し、大きなパーカーを着て群衆の中をすり抜けた。

空港を出てタクシーに乗り込むと、帽子とマスクを外した。

腰まで伸びた長い髪を軽く整えると、艶のある髪が柔らかく揺れた。

タクシー運転手はその瞬間、見とれてしまった。

道明寺華は運転手を見て、「お願いします」と言った。

運転手は慌てて我に返った。

この女性がとても美しく、どこかで見たことがあるような気がした。

しかし、すぐには思い出せなかった。

道明寺華はタクシーの中で窓の外を眺めながら、少し物思いに耽っていた。

3ヶ月間の戦いだった。

ついに、完璧な結末を迎えた。

彼女は振り返って目を向けた。

Joeがチームを率いて、やっと記者たちの包囲から抜け出してくる様子が見えた。

彼女は唇を軽く噛みながら、記者たちに丁寧に対応するJoeの姿を見つめていた。

そう。

彼女はJoeのプロポーズを断った。

あの日、試合会場で審査員が優勝トロフィーを彼らに授与した。

道明寺華はJoeの興奮した様子を見ていた。

彼は感激して一連の感謝の言葉を述べ、そして彼女の前に...

彼女の前で片膝をつこうとした瞬間、道明寺華は彼の体を引き止めた。

彼女は「ごめんなさい」と言った。

Joeはまっすぐに彼女を見つめた。

道明寺華は「ごめんなさい、Joe」と言った。

彼女は彼のために優勝を勝ち取りたかっただけで、それ以外は...断ることを選んだ。