番外027 甘い日常(二更)、本当に甘い

部屋は中にある。

斎藤咲子の冷たい声が、ゆっくりと淡々と響いた。

村上紀文はただそれを聞いていた。

斎藤咲子は再び真剣に言った。「村上紀文、私にこんな風に苦しめられるくらいなら、渡辺菖蒲のことを放っておいて、彼女を何もない状態に戻した方がいい。そうすれば、あなたの望むものをすべて与えるわ」

「それはできない」村上紀文は断固として答えた。

彼も母親が自分のすべての感情を使い果たしたと感じていたが、彼女を見捨てることはできなかった。

感情的には与えなくても、金銭的には保証するつもりだった。

斎藤咲子は少し笑った。「いつかあなたは渡辺菖蒲のせいで失敗するわ。この人生、彼女と一緒に自滅するといいわ」

村上紀文は反論しなかった。

斎藤咲子は携帯を置いた。「私についてきて踏みにじられるかどうかはあなた次第。でも今後、渡辺菖蒲に会ったり、彼女が問題を起こしたりしたら、あなたも含めて、一切の面子を立てないわよ」

「わかった」

彼はうなずいた。

斎藤咲子はそれ以上何も言わなかった。

彼女は布団をかぶって寝た。

村上紀文は彼女が横になるのを見て、ゆっくりと布団をめくってベッドに入った。

彼は斎藤咲子から近すぎず遠すぎない場所に寝た。

二人の間には深い溝があった。

「村上紀文、これからは私を喜ばせる方法を学んでほしいわ」斎藤咲子が突然口を開いた。

村上紀文は体を向けた。

「前にも注意したけど、あなたはあまりうまくやっていないみたいね。私が欲しいのは木の人形じゃないのよ」斎藤咲子は率直に言った。

「わかった」村上紀文は答えた。

彼は突然斎藤咲子に近づいた。

斎藤咲子は彼を見つめた。

「こういうことは、毎回私から言わなければならないのは嫌なのよ」斎藤咲子は再び言った。

「わかった」村上紀文はうなずいた。

「あなたの技術はとても普通だから、もっと学んでほしいわ」

「...わかった」

夜はさらに深くなった。

村上紀文は一生懸命斎藤咲子を喜ばせようとしていた。

斎藤咲子は黙って受け入れていた。

受け入れながらも、愛のない歓びだった。

...

翌日。

村上紀文は早朝に起き、規則正しく朝食を作った。

斎藤咲子は食卓に座っていた。

村上紀文は朝食を彼女の前に置いた。

斎藤咲子は村上紀文を見た。