北村邸。
北村忠は道明寺華に殴られて顔が腫れていた。
彼は顔をさすりながら、再び携帯を手に取って村上紀文のメッセージに返信した。「このメッセージのせいで、俺はほとんど人間じゃなくなるところだったぞ。急にそんなこと聞いて何するつもりだ?」
「ただ聞いてみただけだ」
「この質問は『ただ』じゃないだろ。何が『ただ聞いてみただけ』だ!言わないなら答えないぞ」
「答えなくていい」
「待て待て待て」北村忠は急いで文字を打った。彼は生まれつき好奇心旺盛で、物事を半分しか知らないのが一番耐えられなかった。
「うん」相手は一文字だけ返してきた。
「もしかして彼女ができたのか?」
「違う」
「違うなら、なぜそんなことを聞くんだ?」
「セフレ」村上紀文は二文字だけ送ってきた。
北村忠はそれを見て、目玉が飛び出るほど驚いた。
村上紀文はいつからそんなに奔放になったんだ?
何かに過度に刺激されたんじゃないだろうか。
「彼女に嫌われたのか?」北村忠は尋ねた。
「俺も女じゃないから、彼女たちの心の中で何が良いとされているのかわからない」
「女性によって反応は違うだろうな」
村上紀文は少し考えた。
斎藤咲子は特に何も反応を示さなかったような気がする。
以前の婚約者については…
彼女がどんな反応をしたか、もう忘れてしまった。
彼は答えた。「忘れた」
「……そんなことも忘れるのか」北村忠は断定した。
「だから君に聞きたかったんだ、女性は結局どんなのが好きなんだ?」
「いくつか動画を紹介してやるよ」北村忠は言った。
村上紀文はその瞬間、ようやく気づいたようだった。
この世には成人向け教育ビデオというものがあることをほとんど忘れていた。
「いいね」
「でも村上紀文、こういうのは本当に学んで身につくものじゃなくて、心が大事なんだ。心を込めないと、女性は実際に感じ取るものだよ」北村忠は経験者として言った。「俺は道明寺華一人しか女性を知らないけど、それでも彼女を……」(言葉にできない)
村上紀文は北村忠が送ってきたものを見て、顔が少し熱くなった。
「だから、これは心を込めることが大事なんだ。でもセフレに心を込めるのも難しいだろうから、まずはテクニックを学んでみるといいよ」北村忠はとても無力そうに見えた。
「うん」
「後で送るからな」