証拠

私の目は大きく見開かれた。その書類は従業員の一人からの退職届で、今回は財務部長からのものだった。

私は別の書類を手に取った...そしてまた別の...さらに別の。すべて同じものだった—従業員の退職届—合計で約500通にも及んでいた。

私の義兄の性格を嫌っているのは私だけではないようだった。彼を好まない従業員が多数いるようだ。彼がこのような横暴な態度を続けるなら、1年後には会社に一人の従業員も残っていないのではないだろうか。

信じられない思いで首を振りながら、私は書類を床で見つけた元の位置に戻した。机に向かって歩き、引き出しを開けた。

引き出しの中身が飛び出してきた時、私は思わず「なんてこった」と声に出して言った。現金の束、タバコの箱が十数個、そして未使用のコンドームの箱があった。これは、一流の紳士のオフィスの中で見つけた中で最も信じられないものだった。これは彼が内面では全く紳士的ではないことを証明していた。

もしイブラヒム・グレイソンがヴィンスがオフィスでやったことを知ったら、間違いなく実の息子を殺すだろう。

しかし、イブラヒムが手を汚す前に、私が先にやるつもりだった。私は素手で義兄を殺してやりたかった。後悔の念など微塵も感じないだろう。ヴィンスはそれに値する。でも、ヴィンスは簡単な死に方をする価値はない。彼は生きている間に苦しむべきだ。

私は必要以上の力で引き出しを閉め、壁に寄りかかっているキャビネットを開けた。引き出しにはファイルが入っていて、中に役立つものがあるかもしれない。しかし、取っ手を引いても動かなかった。鍵がかかっていることに気づいた。ポケットから取り出したヘアピンのような物を使って、カチッという小さな音がするまで鍵を開けた。ガラスのカバーが開き、私の唇に勝利の笑みが浮かんだ。

足音が私の神経を研ぎ澄ませた。私は緊張して扉を見つめ、必要なら攻撃する準備をした。

「すみません、驚かせてしまったようですね」ルーカス・ニコラスが扉を開けながら謝るように言った。彼は中に入り、後ろで扉を閉めた。

ルーカスを見て安堵のため息をついた。くそっ！彼のせいで小さな心臓発作になりそうだった。落ち着きを取り戻した後、私は目の前のファイルを見続けた。

ルーカスは部屋の反対側にあるファイルキャビネットに移動し、役立ちそうな書類を探すのを手伝ってくれた。