第28章 同じベッドで寝る

「江口さん、何を……んっ……」

男の唇が重なり、彼女の残りの言葉を遮った。

園田円香は目を見開き、黒い瞳孔が急激に縮んだ。両手を上げ、必死に江口侑樹を押しのけようとした。

やっぱり良からぬことを考えていたんだ！

園田円香が彼の舌を噛もうとした瞬間、男は予測していたかのように大きな手で彼女の顎を掴み、少し力を入れただけで、彼女は抵抗できなくなった。

園田円香はまん丸な大きな目で彼を睨みつけた。もし視線で人を殺せるなら、彼はとっくに千切りにされていただろう。

江口侑樹は軽蔑するように嗤い、彼女から離れると、薄い唇を彼女の耳元に寄せ、簡潔に命令した。「声を出せ！」

え？

園田円香は一瞬茫然とした表情を浮かべた。

「ベッドで声を出せ！」

「…………」

園田円香は彼の言葉に数秒間驚いた後、やっと理解した。江口侑樹は変なことをしようとしていたわけではなく、壁に耳があるということか？

案の定、すぐに寝室のドアの外から人の気配が聞こえてきた。おそらく江川おばあさんと田中だろう。

この二人の盗み聞きの腕前は……本当に上達してきているな！

「まだ声を出さないのか？」男の声が再び響いた。

意図的に低く抑えた声は沙哑な魅力を帯び、彼女の耳元で話すたびに、吐息が一つ一つ降りかかり、園田円香の耳が思わず赤くなった。

彼女は身震いし、思わず首を縮めた。

今となっては、江口侑樹の芝居に付き合うしかない。さもないと江川おばあさんが江口侑樹が彼女を虐めていると思い込んで飛び込んできたら、彼女の怪我がバレてしまう。

そうなれば、江口侑樹は必ず彼女を殺すだろう。

でも……経験はあるとはいえ、いつも江口侑樹が主導だったから、どう声を出せばいいのか分からない！

その様子を見て、江口侑樹は黒い瞳を沈ませ、唇の端に邪悪な笑みを浮かべた。「声を出さないなら、続けるぞ！」

彼は脅しているわけではなく、言葉と同時に大きな手で園田円香の浴衣の帯を引っ張り、瞬時に緩んでしまった。

園田円香は歯を食いしばった。変態！厚かましい！

彼女は江口侑樹が必ず言葉通りにすることを知っていた。もう考える余裕もなく、渋々ぎこちなく二回声を出した。

「あっ——」

「はぁっ——」

江口侑樹は彼女を見る目に無限の軽蔑を込めていた。

誰もが彼のように経験豊富だと思っているのか？