第172章 突発的な危険

携帯が「ピン」と鳴り、園田円香の思考を引き戻した。

彼女は目を伏せて画面を見ると、安藤吉実からのLINEメッセージだった。

安藤吉実:円香、SNSでのネットユーザーの発言は気にしないで。あなたの実力は誰もが認めているわ。私のミスは確かにあったから、この試合結果には納得しているわ。でも、これからの試合でも頑張り続けるつもり。試合は大切だけど、良い友達に出会えることも大切だと思うの。ネット上の言論で、私たちの関係が影響されないことを願っているわ。

この言葉を読んで、他はともかく、安藤吉実の人間性は...確かに高いと感じた。

SNSで彼女を擁護し、さらにプライベートでメッセージを送って好意を示す。彼女に対して悪い印象を持つのは難しい。

このような状況で、もし彼女が何か不満を持っていたら、むしろ小心者に見えてしまうだろう。

園田円香は少し考えてから、「うん、試合で一緒に頑張りましょう」と返信した。

安藤吉実は即座に笑顔のスタンプを送り返してきた。

園田円香はもう返信せず、この件は、これで終わりとなった。

五日後、第二ラウンドの対決が始まった。

朝九時、選ばれた七名の選手がスタジオに集合し、坂本波が人数を確認した後、三人の審査員が順番に席に着いた。

前回同様、対決ルールはその場で発表される予定だった。審査員の一人が立ち上がり、皆に向かって咳払いをして話し始めようとした時、外から騒がしい音が聞こえてきた。

皆は驚き、お互いを見合わせながら、何が起きたのか知りたがった。

審査員は話を中断し、坂本波の方を見て、「坂本監督、何か問題でも?確認してきた方がいいんじゃないですか?」

テレビ局では多くの放送や収録が行われており、このような騒音は基本的に許されないはずだ!

坂本波は頷いて、「では、確認してきます」と言った。

しかし、その言葉が終わらないうちに、スタッフの一人が慌てた様子で飛び込んできた。「坂本監督、大変です!暴漢がテレビ局に侵入して、第一スタジオで人質を取っています。状況は非常に危険です。記者かアナウンサーと会わせろと要求していますが、今日は大会で、記者やアナウンサーのほとんどが外勤で、連絡が取れません。こちらに誰かいませんか?」

「これは...」坂本波は衝撃を受けた。暴漢が侵入するとは。