園田円香は人前では、分別をわきまえていた。
江口侑樹とエンターテインメントニュースのトップを飾りたくなかったからだ。一つは人々の噂の種になりたくないこと、もう一つは江口侑樹のイメージを守りたいこと。結局のところ、江川グループと密接な関係があるのだから。
江口侑樹がいつもエンターテインメントニュースのトップを飾るのは、彼自身にも、江川グループのイメージにも損害を与えることになる。
でも今日は、この瞬間は、自分を抑えきれない。そして、抑える気も...あまりない。
園田円香は軽く下唇を噛んで、目を上げて江口侑樹を見つめ、とても小さな声で言った。「あなた、キスしたい。」
言葉では今の心の感動と愛情を表現できなかった。
江口侑樹は軽く眉を上げた。「今?ここで?」
園田円香は力強くうなずいた。「いい?」
「だめだ。」男は考えもせずに答えた。
「そう...」
園田円香の瞳に失望が隠せなかったが、理解はできた。江口侑樹はいつも控えめな人だし、こういう場所では確かに相応しくない。
しかし次の瞬間、男の低くて心地よい声が耳元で響いた。「こういうことは、男から仕掛けるものだ。」
言葉が終わるや否や、江口侑樹は長い腕で園田円香の細い腰を抱き寄せ、彼女を強く胸に引き寄せた。彼は頭を下げ、薄い唇で彼女にキスをした。
園田円香の黒い瞳が大きく見開かれ、一瞬驚いた後、喜びに変わった。彼女はゆっくりと目を閉じ、つま先立ちになって両手で男の首に腕を回した。
周りのことなど気にせず、すべてを忘れて、彼に応えた。
見ていたスタッフたちは息を呑んだ。こんな素晴らしい光景が見られるとは思わなかった。とはいえ、れっきとした夫婦なのだし、それに、イケメンと美女のカップルはこんなにも目の保養になる。見ているうちに、拍手はさらに大きくなった。
女性スタッフたちは興奮を抑えきれず、歓声を上げた。
スタッフ1:「すごい!人生で見られるとは!江川社長すてき!キスも上手!私、もう無理!酸素ボンベ持ってきて!」
スタッフ2:「まるでドラマのライブ版みたい。いや、それ以上!園田キャスターは女優より綺麗だし、江川社長なんてもう言うまでもない。かっこよすぎて気絶しそう!」
スタッフ3:「園田キャスターに憑依したい!」
スタッフ4:「同感!」