翌日の朝。
陽光が斜めに窓から差し込み、寝室全体を明るく照らしていた。
江口侑樹は甘美な夢からゆっくりと目覚め、目を開けると、数秒の間ぼんやりとした後、徐々に意識が鮮明になった。
昨晩起きたすべてのことが脳裏に浮かび、あの極上の快感は今でも忘れられない。彼は無意識のうちに腕を伸ばして抱き寄せようとした。
しかし、そこには誰もいなかった。
江口侑樹は眉をひそめ、黒い瞳で部屋を見回した。
大きなベッドには彼一人だけで、園田円香の姿はなく、寝室にも彼女はいなかった。
彼は確かに園田円香と非常に楽しく素晴らしい夜を過ごしたはずだ。彼女はどこに行ったのだろう?
まさか...春の夢だったのだろうか?
江口侑樹の目が急に沈み、布団をめくって起き上がると、傍らのバスローブを羽織り、大股で部屋を出た。
ドアを出るとすぐに、園田円香が向かいから歩いてきた。
彼は薄い唇をきつく結び、彼女がどこに行っていたのか尋ねようとしたが、視線は彼女の顔に引き寄せられ、言葉は喉に詰まった。
彼女の顔色は少し青白く、美しい目は赤く腫れていた。明らかに泣いていたのだ。
どうしたんだ?
園田円香は彼がこんなに早く目覚めるとは思っていなかったようで、彼を見た瞬間、少し驚いた様子だった。
そして急に目を伏せ、まるで彼に赤く腫れた目を見られたくないかのように、深呼吸をして、できるだけ自然な口調で言った。「あ、起きたんですね。」
江口侑樹は大股で彼女の前まで歩み寄り、手を伸ばして長い指で彼女の顎をつかみ、強引に顔を上げさせた。
「なぜ泣いていた?」彼の声はかすれ、磁性を帯びていた。
もしかして、彼と寝た後で後悔しているのか?
もし彼女が後悔するなら、絶対に許さない!
彼の女になった以上、一生彼だけの人でなければならない!
園田円香は話したくなさそうに、隠すように答えた。「泣いて...ないです...」
しかし、まだ泣き声の残る声には全く説得力がなかった。
「言え!一体どうしたんだ?」江口侑樹は強く迫った。
園田円香は弱々しく彼を見上げ、突然彼の胸に飛び込み、彼をしっかりと抱きしめると、かすれた声で言った。「ただ...悪夢を見たんです。」
「悪夢?」