045:恥を知らないのね!

執事は頷いて、「かしこまりました。すぐに蒼井さんをお通しいたします」と言った。

結城大奥様は周防鳳雅の方を向いて、「鳳雅、私のシルクのチャイナドレスを持ってきてちょうだい」と言った。

「はい」

少し考えてから、結城大奥様は続けて言った。「楠閣のあの一着を持ってきて」

楠閣は手作りのチャイナドレス専門店だった。

店主は刺繍の芸術家で腕前が素晴らしく、「国際工芸美術の巨匠」の称号も獲得していた。

楠閣のチャイナドレスは値段が高いだけでなく、年間たった三着しか注文を受け付けていなかった。

そのため、楠閣で作られたチャイナドレスを着られることは、身分と権力の象徴でもあった。

多くの人々が噂を聞きつけてやってきた。

結城大奥様は多くのコネを使って、やっとこの一着を手に入れ、重要な行事の時にしか着用しなかった。

周防鳳雅は振り返って笑いながら、「お母様、そこまで正装する必要はないでしょう?」

「あの子が詩瑶の顔を治せるなら、この老婆にとっての恩人よ!」結城大奥様は続けて言った。「恩人に会うのだから、当然きちんとした格好をしなければ」

結城詩瑶は結城家唯一の血筋であり、結城大婆様の命の源でもあった。

結城詩瑶が容姿のせいで日に日に自信を失っていくのを見るのは、結城大奥様の肉を直接切られるよりも辛かった。

「わかりました」周防鳳雅は頷き、すぐにチャイナドレスを持ってきた。

真っ赤なチャイナドレス。

丁寧に刺繍された蓮の花が生き生きとしていた。

さすがは巨匠の手による作品で、結城大奥様がこのチャイナドレスを着ると、優雅で気品があり、歳月も美しさを損なうことはなかった。

着替えを済ませた後、周防鳳雅は結城大奥様を支えて階下へ降りた。

執事は蒼井真緒を正庁の方へ案内していた。

長い廊下を通り抜け、数エーカーもの庭園を通り過ぎると、庭のどんなデザインも一流の名家によるもので、人々を驚嘆させた。

十数分歩いても、まだ正庁に着かなかった。

蒼井真緒は元々財閥の出で、金の匙をくわえて育ち、見聞も広かったが、結城家の庭園を歩きながら、心の中で感嘆せずにはいられなかった。

なるほど、結城家が八大財閥の頂点に立つわけだ。

この財力は、河内市では確かに比類なきものだった!

十分後。

執事は蒼井真緒を正庁に案内した。