094:万能な華和_2

蒼井紫苑は篠崎澪の痩せた手を握り、「ご安心ください。必ず早く姉さんを見つけられますから」と言った。

「うん」篠崎澪は頷いた。

蒼井紫苑は続けて「そういえば、先ほど私に何かご用があるとおっしゃっていましたが?」

篠崎澪はようやく本題を思い出した。「実は、大したことではないんだけど」

ここで篠崎澪は一旦言葉を切り、心の中で言葉を選びながら、「紫苑、もう大きな娘になったでしょう。諺にもあるように、娘が大きくなれば母を避け、父親を避けるものよ。これからは兄たちと付き合う時には、少し気をつけないといけないわ。人の口に上らないように、うちの家の躾が悪いと言われないようにね」

蒼井大婆様は先ほど蒼井修誠を叱ったばかりだった。

蒼井修誠は父親として直接蒼井紫苑と話すのは適切ではないと考え、篠崎澪に頼んだのだ。