110:蒼井真緒が呆気にとられた_5

嫉妬していたものの、彼女は周防大婆様と一緒に河内市へ行くことを喜んでいた。

どう言っても、蒼井真緒は彼女のいとこだから、表面的な関係は保たなければならない。

周防蕾香は周防大婆様がすぐに河内市へ行くことを蒼井真緒に伝えた。

蒼井真緒は眉をひそめ、不機嫌なふりをして言った。「お母さん、他の人には言わないでって言ったでしょう?」

彼女は控えめに行動したかったが、母親は派手な性格だった。

周防蕾香は笑って言った。「おばあちゃんと叔母さんが他人なわけないでしょう?」

蒼井真緒は続けて言った。「おばあちゃんたち以外には、誰にも言ってないですよね?」

「安心して、言ってないわ。」

蒼井真緒は心の中で少し失望したが、表には出さなかった。

彼女は周防蕾香が麻雀仲間に自慢するだろうと思っていたのに……

まさか、今回は周防蕾香がこんなに落ち着いているとは。

でも大丈夫。

契約を結んだ後、この件は必ず町中の話題になるはず!

そう考えると、蒼井真緒は口角を上げた。

そのとき、外から車のエンジン音が聞こえてきた。

それを聞いて、周防蕾香はすぐに元気を出した。「きっとおばあちゃんたちが来たわ。」

蒼井真緒は周防蕾香の後について行った。

外に出ると、確かに周防大婆様が到着していた。

周防大婆様は今年七十歳過ぎで、黒髪に染め、おしゃれな服装でハイヒールを履いていた。おしゃれに着飾っているものの、どこか違和感があった。

お年寄りらしい慈愛の感じがなかった。

「お母さん。」周防蕾香はすぐに出迎えた。

「蕾香。」

周防蕾香は隣の橘雲香を見て、「お義姉さんも来てくれたのね。」

橘雲香は笑って言った。「真緒がこんなに出世するなんて、叔母として見に来ないわけにはいかないでしょう。」

蒼井真緒も近づいて、礼儀正しく挨拶した。「おばあちゃん、叔母さん、いとこ。」

周防大婆様はこの孫娘が大好きで、すぐに蒼井真緒の両手を握り、可愛い可愛いと連呼した。

蒼井真緒はこういう感じが嫌いで、表面的な笑顔を浮かべるしかなかった。

周防想生は眉をひそめた。

彼女はずっと周防大婆様が偏愛していると感じていた。

今見ると、より一層周防大婆様の偏愛を感じた。