122:蒼井紫苑は完全に呆然とした!_3

「はい」

蒼井紫苑はすぐに目を閉じた。

蒼井陽翔はポケットからネックレスケースを取り出した。

中からネックレスを取り出し、蒼井紫苑の首に掛けた。

銀色のネックレスで、ペンダントは二つのアルファベット。

S.H。

「はい、目を開けていいよ」と蒼井陽翔が言った。

それを聞いて、蒼井紫苑は目を開け、鎖骨のあたりのネックレスに触れ、すぐに姿見の前に走り、首のネックレスを丁寧に眺めた。「わぁ!これはミス蒼井の限定ネックレス!」

ミス蒼井は蒼井紫苑が最も憧れる人物だった。

このネックレスは、ミス蒼井の歴史的記録を記念して、彼女本人とのコラボレーションでデザインされたものだった。

世界限定10本。

蒼井紫苑はずっと前から一本欲しがっていた。

でも手に入れることができなかった。

まさか蒼井陽翔が買えるとは思わなかった。

「うん」蒼井陽翔は頷いた。

蒼井紫苑は首のネックレスを見つめながら、「お兄ちゃん、すごいね!」

蒼井陽翔は笑いながら言った:「このプレゼント、気に入った?」

「大好き、本当に大好き!」興奮のあまり、蒼井紫苑は飛び上がって、蒼井陽翔に抱きついた。両足を彼の腰に巻きつけた。

蒼井陽翔は彼女を抱きしめ、優しく言った:「気に入ってくれて良かった」

「お兄ちゃん、こんなに良くしてくれてありがとう!」

蒼井陽翔は蒼井紫苑の頭を撫でながら、「お前は俺の唯一の妹だ。お前に良くしなくて誰に良くするんだ?本当にお馬鹿さんだな!」

「お兄ちゃん」蒼井紫苑の表情が一瞬暗くなった。「忘れたの?私はお兄ちゃんの唯一の妹じゃない。紅音お姉さんこそが本当の妹だよ」

彼女と蒼井陽翔には血のつながりがなかった。

蒼井陽翔は蒼井紫苑の目の中の寂しさを見て取り、彼女の後頭部を軽く叩いた。「紫苑、いつだって、お前は俺の唯一の妹だ。それは誰にも変えられない」

一度も会ったことのない妹と比べれば、彼の心は蒼井紫苑の方に傾いていた。

結局のところ。

蒼井紅音がどんな性格なのかも分からないのだから。

蒼井紫苑は感動して、蒼井陽翔をきつく抱きしめた。「お兄ちゃん、ありがとう」

蒼井陽翔が本当に彼女を妹として見ていないことは分かっていたが、この瞬間、蒼井紫苑はやはり感動を覚えた。

結局、ミス蒼井のネックレスはお金があれば買えるというものではなかった。