123：実の祖母のように

篠崎澪の後ろについてきた少女は、腰まで届く長い髪で、黒いベレー帽を被り、紅い唇と白い歯が印象的で、すっぴんなのに人の息を呑むほどの美しさを持ち、黒いスキニーパンツに純白のゆったりしたセーターを着て、すらりとした長い脚が際立っていた。

彼女は篠崎澪の後ろについて、笑顔で話をしながら歩いており、その光景は非常に調和が取れていて、まるで母娘のように自然な雰囲気を醸し出していた。

これは......

蒼井華和。

来訪者が蒼井華和だと気づいた蒼井紫苑の顔から、血の気が徐々に失われていった。

ど、どうして...？

篠崎澪が招待したのは金融の専門家のはずでは？

なぜ蒼井華和が招かれもしないのに来たの？

そのとき、篠崎澪が笑顔で言った。「紫苑、誰が来たか見てごらん！」

蒼井紫苑はようやく我に返り、「華和姉」と呼びかけた。

蒼井華和は微笑んで、「蒼井さん」と返した。

篠崎澪は続けて、「紫苑、今日来るのが華和だとは思わなかったでしょう？」

今日の客人が蒼井華和？

その言葉を聞いて、蒼井紫苑の心は底なし沼に落ちていくようだった。

複雑な気持ちでいっぱいになった。

どうしよう？

三日前に必死になって蒼井大婆様に蒼井華和を会わせないようにしたのに。

なのに今は......

篠崎澪が彼女を連れてきてしまった。

蒼井大婆様が何も気づかないことを願うばかり。

蒼井紫苑は心の中で祈っていた。

「ええ、思いもよりませんでした」蒼井紫苑は無理に笑顔を作り、とても嬉しそうな様子を装って蒼井華和の手を取り、「華和姉、どうぞお入りください」

蒼井華和は一緒に中に入った。

篠崎澪は続けて、「紫苑、お婆ちゃんはどこ？」

蒼井紫苑はリビングを見回して、「私も分かりません。たぶん二階で休んでいるんじゃないでしょうか」

篠崎澪は蒼井紫苑と蒼井婆ちゃんにもっと交流の時間を与え、二人の関係を改善したいと思い、「二階に行ってお婆ちゃんを呼んできて」と言った。

「はい」蒼井紫苑は頷いた。

そのとき、蒼井琥翔が下階の物音を聞きつけて降りてきた。

「母さん、お客様？」