「私には華和がそんな人には見えないわ!」篠崎澪は言った。
蒼井紫苑がその時近づいてきて、「お兄ちゃん、華和姉のことを誤解してるわ。華和姉は本当にいい子なの。そうじゃなかったら、おばあちゃんもあんなに気に入るはずないでしょう。私、おばあちゃんがここまで誰かを気に入るのを見たことないわ」
一言で、二つの意味が込められていた。
この言葉は表面上は蒼井華和を褒めているようで、実は華和が計算高いことを暗に示していた。
蒼井華和に計算がなければ、蒼井大婆様をここまで気に入らせることはできなかっただろう。
結局のところ、蒼井大婆様は気難しい老婦人なのだから。
最後に、蒼井紫苑は悔しそうに俯いて、「私なんて、どうやってもおばあちゃんに気に入られないの」
その様子は、今にも泣き出しそうだった。
それを見た篠崎澪は心を痛め、蒼井紫苑の手を握って、「バカね、そんなふうに考えないで。おばあちゃんは口は厳しいけど心は優しいの。あなたのことを嫌っているわけじゃないわ」
蒼井陽翔が続けて言った。「お前は華和ほど頭が回らないからだよ!華和の半分でも計算高ければ、今みたいな状況にはならなかったのに」
その一言で、篠崎澪は一瞬固まった。
元々そこまで深く考えていなかったのに。
篠崎澪が反応する間もなく、蒼井陽翔は続けた。「母さん、うちがどんな家庭か、あなたが一番よく分かっているでしょう。これまで、どれだけ多くの拝金女がうちに嫁ぎたがったか、あなたも見てきたはずだ。父さんに貢ぎものをしようとした女までいたじゃないか!」
ここまで言って、蒼井陽翔は一旦言葉を切り、重々しく続けた。「紫苑はこんなに素直で分別があるのに、おばあちゃんの認めを得られない。なのに華和は来て半日で、おばあちゃんをここまで心配させる。これはなぜだと思わないの?」
篠崎澪は呆然として、それから蒼井陽翔の方を向いた。「でも私も華和のことが好きよ!陽翔、あなた考えすぎじゃない?」
彼女から見ても、華和はそんな人には見えなかった。
「じゃあ、なぜ華和のことが好きなのか考えてみてください」蒼井陽翔は続けて尋ねた。
篠崎澪は首を振った。「私にも分からないわ。なんとなく好きになってしまって、縁があると感じるの」