もし、蒼井大婆様の頭がはっきりしていればまだましだったのに。
蒼井大婆様は今、完全に頭が混乱している状態だった。
そうでなければ、蒼井紫苑をこれほど嫌うはずがない。
もし自分が蒼井大婆様なら、きっと蒼井紫苑を手のひらで大切にしただろう。
でも蒼井大婆様は?
孫として、蒼井陽翔はすべきことをすべてやってきた。
彼は蒼井大婆様に対して何か不足していることはないと感じていた。
篠崎澪は蒼井琥翔を見て、「琥翔、次男坊と三男坊に連絡した?」と尋ねた。
「はい、今帰りの飛行機に乗っています」
「それは良かった」篠崎澪は頷いた。
もし蒼井大婆様に何かあった場合、最後の別れができるようにと思って。
篠崎澪も最悪の結果を見たくはなかったが。
しかし今は最悪の事態に備えざるを得なかった。