130:親子関係成立!_5

これは如月廷真が二度目に聞いた言葉だった。

不思議な感覚で、心のどこかが一瞬で満たされた。

この瞬間、目の前の人が星を欲しいと言えば、なんとかして手に入れようとするだろう。

如月廷真は蒼井華和の側に歩み寄り、「この方は?」と尋ねた。

「蒼井兄さんよ」と言って、蒼井華和は続けた。「蒼井兄さん、こちらは私の婚約者の如月廷真です」

婚約者。

その呼び方を聞いて、蒼井琥翔は一瞬固まった。

蒼井華和にすでに婚約者がいるとは思いもよらなかった。

如月廷真は横目で蒼井華和を見た。

やはり、彼の女の子は決して彼を失望させることはない。

一瞬の戸惑いの後、蒼井琥翔はすぐに自己紹介をし、如月廷真に手を差し出した。「如月さん、はじめまして。蒼井琥翔です」

「蒼井先生」如月廷真は蒼井琥翔と握手を交わした。

そう言って、如月廷真は続けた。「華和、蒼井先生とどこへ行くの?送っていくよ」

「ありがとう、病院に行くの」

「乗って」如月廷真はまず蒼井琥翔のために助手席のドアを開けた。

蒼井琥翔は身を屈めて車に乗り込んだ。「ありがとう」

如月廷真と蒼井華和は後部座席に座った。

車内の若松峰也は少し困惑していた。

どうして突然、みんな乗り込んできたのだろう?

それに、隣に座っているこの人は如月廷真のライバルなのか?

こっそり意地悪をしたほうがいいのだろうか?

そのとき、如月廷真が口を開いた。「病院へ」

若松峰也は特に何も言わず、ただ「はい」と答えた。

30分後、車は病院に到着した。

若松峰也は車内で待機し、如月廷真は蒼井華和と一緒に病院へ向かった。

誰かの体調が悪いのかと思っていたが、法医学物証科に着くまで、二人がDNA鑑定を受けに来たことを理解していなかった。

蒼井琥翔は30歳前後に見え、父親である可能性は除外され、おそらく蒼井華和の兄である可能性が高かった。

蒼井琥翔が将来の義兄になる可能性が高いと気づき、如月廷真は警戒心を半分解いた。

義兄を怒らせるわけにはいかない。

DNA鑑定の手順は多かった。

第一段階はDNAの抽出。

看護師は二人を採血に連れて行った。

蒼井琥翔の方はすぐに採血が終わった。

蒼井華和の方は、看護師が長い間血管を探したが、なかなか見つからなかった。