蒼井大婆様の最大の願いは家族全員が揃うことだった。
この数年間、彼らは一度も家族写真を撮ったことがなかった。
家族写真を一枚撮ることは蒼井大婆様の執念となっていた。
そう思うと、篠崎澪の心はより一層苦しくなった。
蒼井大婆様は一生南北を転戦し、多くの苦労を重ねてきた。やっと戦いから解放されたというのに、唯一の孫娘を失ってしまい......
その言葉を聞いて、蒼井紫苑は唇を噛んだ。
死ね!
この老婆、早く死んでしまえ!
蒼井紅音に会えると思っているの?
来世にでもね。
「お母さん、おばあちゃんは必ず無事に姉さんの帰りを見られるわ。悲しまないで」蒼井紫苑は篠崎澪を抱きしめた。
篠崎澪は蒼井紫苑の肩に顔を埋め、声を上げて泣いた。
もし蒼井大婆様に何かあったら、自分はどうすればいいのか想像もできなかった。