男の子にも男の子なりの良さがある。
蒼井紫苑のような娘がいるくらいなら、産まない方がましだ。
蒼井紫苑が悪事を働いているところを見たことはないが、それでも彼女のことが好きになれない。
蒼井紫苑から受ける第一印象は、計算高いということだ。
結局のところ蒼井家の血筋ではないから、蒼井家の者が持つ生まれながらの気質が微塵も見られない。
春日吉珠は朝倉渚の腕を組んで、「大婆様が今回この試練を乗り越えられなかったら、どれほど心残りだろうね」と言った。
最後に、春日吉珠はため息をついた。
春日吉珠ほど、この数年間、蒼井大婆様が蒼井紅音を探すためにどれほどの苦労をしてきたかを知る者はいない。
山岳地帯や砂漠地帯まで行き......野宿をしながら旅を続け、多くの子どもを失った家族の子どもを見つけ出す手助けまでしてきた。
しかし、自分の孫娘だけは見つけることができなかった。
朝倉渚は当然、春日吉珠の言う心残りが何を指しているのかを理解していた。「大婆様は善人だから、きっと大丈夫よ」
「そうだといいけど!」春日吉珠は続けて言った。「紅音はまだ見つかるかしら?」
朝倉渚はため息をつき、声を潜めて言った。「可能性は極めて低いわ」
彼女も兄夫婦の家族が早く再会できることを願っているが、これほど長い間探し続けても音沙汰なしということは、もはや望みは薄いだろう。
見つかるものなら、とっくに見つかっているはずだ。
春日吉珠もため息をついて、「私も見つかる可能性は低いと思うけど、大婆様には言えないわ......」
一方。
蒼井琥翔は会社に立ち寄り、手持ちの仕事を副社長に一つ一つ引き継いだ。
その後、秘書に河内市行きの航空券を購入させた。
最も早い便は午前1時発だった。
河内市と帝都では気温差が大きい。
帝都はすでにマイナス2度だが、河内市はまだ夏のように、日中の最高気温は30度に達する。
蒼井琥翔は生活秘書に衣類を幾つか用意させ、それから空港へ向かった。
午前4時、飛行機は定刻通り河内空港に着陸した。
蒼井琥翔はこの見知らぬ土地に立ち、しばし感慨に耽った。
もし蒼井華和が蒼井紅音だとしたら。
ここは彼の実の妹が十数年間暮らしてきた場所ということになる。
午前5時、蒼井琥翔は宿泊するホテルに到着した。