男の子にも男の子なりの良さがある。
蒼井紫苑のような娘がいるくらいなら、産まない方がましだ。
蒼井紫苑が悪事を働いているところを見たことはないが、それでも彼女のことが好きになれない。
蒼井紫苑から受ける第一印象は、計算高いということだ。
結局のところ蒼井家の血筋ではないから、蒼井家の者が持つ生まれながらの気質が微塵も見られない。
春日吉珠は朝倉渚の腕を組んで、「大婆様が今回この試練を乗り越えられなかったら、どれほど心残りだろうね」と言った。
最後に、春日吉珠はため息をついた。
春日吉珠ほど、この数年間、蒼井大婆様が蒼井紅音を探すためにどれほどの苦労をしてきたかを知る者はいない。
山岳地帯や砂漠地帯まで行き......野宿をしながら旅を続け、多くの子どもを失った家族の子どもを見つけ出す手助けまでしてきた。