131：家族団らん！_4

言い換えれば、蒼井大婆様に何かあったとしても、後悔はないということだ。

少なくとも目を閉じる前に、実の孫娘に会えたのだから。

朝倉渚は笑いながら言った。「そうそう、お義姉さん、紅音ちゃんへの贈り物を用意した方がいいんじゃない？」

「もちろんよ！紅音は私たち蒼井家の宝物なんだから！」春日吉珠は続けて言った。「残念ながら、今回の河内市への訪問では何も準備できなかったわ。私の名義の服飾店があるでしょう？それを彼女にプレゼントしようと思うの。」

春日吉珠が言及した服飾店は、ただの小さな工房ではない。

この服飾店は彼女のオリジナルブランドで、現在すでに10店舗のチェーン店を持ち、帝都で少なからぬ名声を得ている。

朝倉渚は笑って言った。「お義姉さんがそんなに太っ腹なら、私も負けてられないわ！『逐一』を紅音ちゃんの名義に変更しようと思うの。」

逐一は朝倉渚が経営する火鍋店だ。

彼女はウェイトレス出身で、これまでずっと飲食業界で活躍してきた。

彼女を飲食業界の大御所と呼んでも過言ではない。

逐一というブランドは、春日吉珠の服飾店に引けを取らない。

二人の叔母の会話を聞きながら、蒼井紫苑は歯ぎしりせんばかりだった。

これまで、彼女は春日吉珠と朝倉渚からの恩恵を一切受け入れてこなかった。

蒼井華和が戻ってきたばかりなのに、二人はもう贈り物の相談を始めている！

これが彼女にとって公平だろうか？

しかし、あの田舎者の華和に、二人が贈るものをうまく扱えるはずがない。

服飾店にしても火鍋店にしても、経営者が必要だ。

華和にそんなことができるのか？

華和は財務諸表さえ理解できないだろう。

待っていればいい。

いつか必ず、この人たちは鳳凰と雑鶏の違いを理解することになる。

そう考えると、蒼井紫苑は目を細めた。

病床に横たわる蒼井大婆様は、蒼井紫苑の表情に気付いていた。

彼女は紫苑が良い人間ではないことを知っていた。

見ないほうがましだ。

蒼井大婆様は目を閉じた。

そのとき、蒼井紫苑は春日吉珠と朝倉渚の側に歩み寄り、「二叔母さん、小叔母さん、もう昼時なので、おばあさまとお二人の分のお食事を取りに帰ってきます。ここで少しお待ちください。」

「ええ。気を付けて行ってらっしゃい。」春日吉珠が言った。

「分かっています、二叔母さん。」